革のこと⑤
革のこと⑤
革のこと④の続きです。
私たちが見つけたのは、豚さんの革でした。
この豚の革のことをお話しする前に、「なめし」について書きますね。
「なめし」とは、「皮」から「革」へと生まれ変わらせる、大事な工程です。
腐敗や変質を防ぐために行います。
そして、「皮」を「革」にする仕事をしている人を、タンナー、といいます。
さて、この「なめし」の際、金属や化学薬品、天然素材を使用します。
金属や化学薬品を使うメリットは、安価で大量に生産できること。
柔らかくしなやかな仕上がりになり、鮮やかな着色がしやすく、経年変化も少ない。
同じものを大量に、または、同じものを長期にわたって生産するのに向いています。
でも肌が敏感な人や、アレルギー体質の人には、刺激となる恐れがあります。
また焼却する際、有毒ガスが発生します。
一方、天然素材を使用した「なめし」は、植物から抽出したタンニンを使います。
古くから行われてきた伝統的な手法です。
化学薬品と違い、作業に時間がかかります。
ハリやコシのある仕上がりになり、着色は地革に左右されます。
また革そのものの風合いを活かせて、経年変化を楽しむことができます。
赤ちゃんや敏感肌の人でも安心して使え、そのまま土に還すこともできます。
私たちが見つけた豚の革は、ミモザから抽出したタンニンを使用して、なめしている革でした。
革は「個性ある命」。
天然素材のなめしは、環境や人に優しいだけでなく、革の個性をより生かすことができる方法だと思いました。
written by nana